邦訳にあたって

本文書は、WWW関連技術の標準化団体である World Wide Web Consortium [W3C] が2000年2月3日に公表した、"Authoring Tool Accessibility Guidelines 1.0(ATAG 1.0)" [ATAG 1.0] の邦訳です。

ATAG 1.0 の正式版は、W3C公表の英語版 http://www.w3.org/TR/2000/REC-ATAG10-20000203 のみです。本邦訳は、W3Cの 文書使用許諾 にもとづき、CYBER@GARDEN代表 益子 貴寛(ましこ たかひろ)が個人的な興味により翻訳したものです。

邦訳にあたっては細心の注意をはらっておりますが、誤訳・表現上の不備等、お気づきの点がごさいましたら、webmaster@cybergarden.net までご連絡をお願い致します。

2000年7月16日

表現を一部修正しました。

2003年7月4日

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Notes on Japanese Version Translation

This document is a Japanese version of "Authoring Tool Accessibility Guidelines 1.0" [ATAG 1.0],  3 February 2000, published by World Wide Web Consortium [W3C].

The normative version of ATAG 1.0 is only the English one published by W3C at http://www.w3.org/TR/2000/REC-ATAG10-20000203. This Japanese version is translated based on private interest according to the document copyright notice of W3C . 

This Japanese version is translated with meticulous attention, but may include mistakes in some parts. Please send comments about this Japanese version to webmaster@cybergarden.net, if you find errors or inadequacies in terms of expression.

July 16, 2000

Revised some parts of content.

July 4, 2003

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W3C

オーサリングツールアクセシビリティガイドライン 1.0

W3C勧告 2000年2月3日公表

本版:
http://www.w3.org/TR/2000/REC-ATAG10-20000203
プレーンテキスト形式HTML形式 GZIP/TAR圧縮ファイルHTML形式 ZIP圧縮ファイルPostScript形式PDF形式
最新版:
http://www.w3.org/TR/ATAG10
旧版:
http://www.w3.org/TR/1999/PR-WAI-AUTOOLS-19991026
編集者:
Jutta Treviranus − ATRC、トロント大学
Charles McCathieNevile − W3C
Ian Jacobs − W3C
Jan Richards − トロント大学

概要

本仕様書は、Webオーサリングツール開発者のためのガイドラインを提供するものである。本仕様書の目的は2つあるが、ひとつは、開発者がアクセシビリティの高いWebコンテンツを作成するためのオーサリングツールを設計するのに役立つことであり、もうひとつは、開発者がアクセシビリティの高いオーサリングインターフェースを考案するのに役立つことである。

オーサリングツールは、プロンプト、アラート、チェックおよび修正機能、ヘルプファイル、自動実行ツール(automated tool)を通して、利用者(「制作者」)がアクセシビリティの高いWebコンテンツを作成するのを可能にし、促進し、支援するものである。すべての人々がコンテンツにアクセスできるのと同様に、すべての人々がコンテンツを作成できることが、まさに重要なのである。したがって、アクセシビリティの高い情報の作成に使用されるオーサリングツールそれ自体が、アクセシビリティが高くなければならない。本ガイドラインの適用は、より広範な利用者が読むことが可能なWebコンテンツの、またより広範な制作者が使用することが可能なオーサリングツールの増大に寄与するであろう。

本文書は、W3C Webアクセシビリティ推進委員会Web Accessibility Initiative: WAI)公表のアクセシビリティ関連文書の一部である。

本文書の位置づけ

本節では、公表時点での本文書の位置づけについて説明する。他の文書が本文書と置き替えられる可能性がある。本文書シリーズの最新の位置づけは、W3Cに保持されている。

本文書は、W3Cメンバーおよび他の利害関係者により検討され、理事によりW3C勧告として承認されたものである。本文書は確定的なものであり、他の文書が本文書を参考資料として利用し、あるいは規範的な参考事項として引用することができる。勧告の設定にあたってのW3Cの役割は、仕様書に対する注意を引きつけ、またその広範囲にわたる進展を促すことにある。これによって、Webの機能性(functionality)および共用性(interoperability)が向上するだろう。

草案ごとの変更点の記録 が入手可能である。

作業部会の決議に関する詳細な情報は、オーサリングツールアクセシビリティガイドライン 作業部会(AUWG)会議の議事録を参照。

本文書は、Webアクセシビリティ推進委員会(WAIの一部である、オーサリングツールアクセシビリティガイドライン 作業部会(AUWG)により作成されたものである。本作業部会の目的は、AUWG設置綱領の中で討議されている。

本文書に関する一般的なコメントは、公開メーリングリスト w3c-wai-au@w3.org公開記録)へ送付されたい。

本仕様書は、英語版のみが正式版となっている。本文書の翻訳版に関する情報は、http://www.w3.org/WAI/AU/ATAG-TRANSLATIONS で入手可能である。

本文書の正誤表は、http://www.w3.org/WAI/AU/ATAG-ERRATAで入手可能である。本文書中の誤りについては、wai-atag-editor@w3.orgまで報告されたい。

草案(Working Draft)や注釈(Note)を含む最新のW3C勧告および他の技術書の一覧は、http://www.w3.org/TR で確認することができる。

目次

本文書の付録 [ATAG10-CHECKLIST]は、すべてのチェックポイントを一覧表示しており、便利な参考資料として利用できる。


1. はじめに

本ガイドラインにおいて、「オーサリングツール 」という用語は、以下のようなWebコンテンツの作成に使用されるさまざまなソフトウェアに関連する。

本文書の目標は、次のように述べることができる。すなわち、オーサリングツールが、制作者に対して身体の障害に関わらずアクセシビリティが高く、初期状態でもアクセシビリティの高いコンテンツを生み出し、制作者がアクセシビリティの高いコンテンツを作成するのを支援・促進する、ということである。Webコンテンツの大部分がオーサリングツールを用いて作成されることから、Webのアクセシビリティ の確保にあたり、オーサリングツールは極めて重要な役割を担っている。Webは情報を受信・発信するためのひとつの手段であるから、作成されるWebコンテンツおよびオーサリングツールそれ自体のアクセシビリティが高いことが重要となる。

これらの目標を達成するため、オーサリングツール開発者は、アクセシビリティの高い基準(例えば、HTML 4)への準拠を確実にする、アクセシビリティ問題をチェック・修正する、プロンプトで指示を与える、適切な文書作成ガイド(documentation)およびヘルプを提供する、といった段階を踏まなければならない。本ガイドラインは、何がアクセシビリティの高いコンテンツを構成するのか、ということに関する詳細な情報について、「Webコンテンツアクセシビリティガイドライン1.0」[WCAG10] に依拠する。同様に、本ガイドラインは、一般的なアクセシビリティの高いソフトウェアの設計に言及した既存の仕様書を直接書き直すのではなく、それら他の資料に依拠する。本ガイドラインは、制作者にとって、融通性の高い編集画面(editing views)、ナビゲーション補助機能、ディスプレイプロパティへのアクセス機能、といったアクセシビリティの高い設計について考慮することを強調している。

本ガイドラインが示している原則は、身体に障害はないが、同様の要求をもつ多くの人のためになるであろう。これには、騒々しい環境や静かな環境など、音声を使用することができない状況で作業をしている人々、他の仕事に目を向けなければならず、スクリーンを見ることができない人々、小さなスクリーンでキーボードやマウスのない小型のモバイル機器を使用している人々が含まれる。

「オーサリングツールアクセシビリティガイドライン1.0 技術書」[ATAG10-TECHS] と題する別の文書では、各チェックポイントを満たすための提案と実例を提供している。また本技術書には、オーサリングツールが各チェックポイントを満たす方法に関して、追加的な情報を提供する他の(プラットフォーム特化型ソフトウェアアクセシビリティガイドラインといった)アクセシビリティ関連文書に対する参考事項が含まれている。読者は、「Webコンテンツアクセシビリティガイドライン1.0 技術書」[WCAG10-TECHS]および「ユーザーエージェントアクセシビリティガイドライン1.0 技術書」[UAAG10-TECHS]と同様に、本技術書に精通することを強く推奨する。

注記:[ATAG10-TECHS]で示されている実施方法は、説明のための実例にすぎない。他の方法が、それらに加えて、あるいは、それらの代わりに、チェックポイントを満たすのに使用されるかもしれないが、このことについては[ATAG10-TECHS]で議論している。

注記:本文書に準拠したオーサリングツールは、アクセシビリティの高いWebコンテンツを増大させ、身体の障害に関わらずあらゆる人に役立つものである。しかしながら、本ガイドラインに準拠していなくとも、望ましい環境下でアクセシビリティの高いコンテンツを作成できるオーサリングツール(例えば、Webに対する意識の高い制作者が使用するテキストエディター)や、身体に障害のある制作者にアクセシビリティの高いインターフェイスを提供するオーサリングツールが存在するであろう。

1.1 ガイドラインの構成

本文書が示す7つのガイドラインは、アクセシビリティの高いオーサリングツール設計のための一般原則である。各ガイドラインには、次のものが含まれる。

各ガイドラインのチェックポイントでは、オーサリングツールがガイドラインに準拠する要件を明らかにしている。各チェックポイントには、次のものが含まれる。

各チェックポイントは、それが確証され得るのに十分明確であることが意図されているが、オーサリングツール開発者が、そのチェックポイントを満たすのに最も適切な方法を使用することが許されるぐらいに、十分に一般的である。

本仕様書の付録 [ATAG10-CHECKLIST]は、すべてのチェックポイントを一覧表示しており、便利な参考資料として利用できる。

1.2 チェックポイントの優先度

各チェックポイントには、優先度がある。優先度は、本仕様書の目標と照らし合わせた場合における、チェックポイントへの影響度が反映されている。以下が、本仕様書の目標である

優先度は、以下のように割り当てられる。

[優先度 1]
本仕様書の目標の達成にとって不可欠なチェックポイント
[優先度 2]
本仕様書の目標の達成にとって重要なチェックポイント
[優先度 3]
本仕様書の目標の達成にとって有益なチェックポイント
[相対的優先度]

Webコンテンツの生成、作成、チェックに関連するチェックポイントの中には、複数の優先度をもつものもある。優先度は、「Webコンテンツアクセシビリティガイドライン1.0」[WCAG10]において対応する優先度に依拠する。

  • 優先度 1は、WCAG 1.0において優先度 1の要件として示されている、コンテンツの特性に関するチェックポイントを満たすものである。
  • 優先度 2は、WCAG 1.0において優先度 2の要件として示されている、コンテンツの特性に関するチェックポイントを満たすものである。
  • 優先度 3は、WCAG 1.0において優先度 3の要件として示されている、コンテンツの特性に関するチェックポイントを満たすものである。

例:

  • 画像や音声に関する文字同等物の提供は、それがなければある個人ないしグループがその情報にアクセスできないと考えられることから、WCAG 1.0における優先度1の要件にあたる。したがって、オーサリングツールに対する優先度 1の要件は、この種のコンテンツをチェックし(4.1)、あるいは、それに対する同等の代替物を制作者に求める(3.1)ことである。
  • ナビゲーションバーにおいてリンクをグループ化することは、WCAG 1.0における優先度 3にあたる。したがって、オーサリングツールに対する優先度 3は、ナビゲーション構造としてのマークアップの中で、グループ化されていないリンクがあるかどうかをチェックし(4.1)、あるいは、リンクのグループ化を制作者に求める(3.2)ことである。

本文書におけるチェックポイントが WCAG 1.0 [WCAG10]に関連する場合、オーサリングツールにより支援あるいは自動生成されるコンテンツに関する WCAG 1.0のチェックポイントのみが適用される。適用され得る WCAG 1.0のチェックポイントの中には、(制作者の関与なしに)自動的に満たされるものもあるが、人間の判断を必要とし、プロンプトあるいは文書作成ガイドの形式で、オーサリングツールが支援するものもある。異なるオーサリングツールが、異なる方法で同一のチェックポイントを満たす可能性もある。

各チェックポイントの優先度は、制作者は能力があるが、専門家である必要はなく、オーサリングツールの利用者であり、またアクセシビリティに関してほとんどないし全く知識がない、という前提のもとに選択された。例えば、制作者は、文書作成ガイドのすべてを読んでいることが期待されているのではなく、わからないことを文書作成ガイドで調べる方法は知っている、ということが期待されている。

1.3 ガイドラインへの準拠

本節では、オーサリングツールが本文書に準拠していることを示す、妥当性のある準拠表明 を行う方法を説明する。誰でも(例えば、自社製品の販売元、その製品の第三者、製品のジャーナリストなどが)表明を行う可能性があり、至るところ(例えば、Web上や製品の文書作成ガイド上)で表明が行われる可能性がある。

表明者は、準拠表明および 準拠アイコン の使用に関してのみ責任を負う。準拠表明の対象(すなわち、ソフトウェア)が、表明日の後に変更された場合には、表明者は準拠表明を更新する責任を負う。表明者が入手可能な最新のガイドラインに準拠することを推奨する。

準拠アイコン に関する詳細は、Web上で説明している( [CONFORMANCE] を参照)。

準拠度

準拠表明では、以下のどの準拠度に合致しているかを明示しなければならない。

注記:準拠度は、音声として読み上げられた場合でも理解できるように、テキストで(例えば、「AA」ではなく「Double-A」で)表記する。

適切な準拠表明

適切な準拠表明には、次の情報が含まれなければならない。

  1. ガイドラインのタイトルおよびバージョン: 「オーサリングツールアクセシビリティガイドライン 1.0」
  2. ガイドラインのURI: http://www.w3.org/TR/2000/REC-ATAG10-20000203
  3. 満たしている 準拠度: 「A」、「Double-A」、または「Triple-A」
  4. 準拠表明が及んでいるソフトウエアのバージョン番号およびオペレーティングシステム。また、アップグレードやプラグインが必要かどうかも明示する。
  5. 表明日
  6. 選択した準拠度に当てはまらないと考えられるチェックポイント。表明者は、この目的を果たすためチェックリスト [ATAG10-CHECKLIST] を用いるべきである。

この情報は、(例えば、Webアクセシビリティ推進委員会が準拠表明のために考案した、「リソース記述フレームワーク」(RDF[RDF10] および「リソース記述フレームワーク枠組み」を使用することで)文字あるいはMETAデータにおいて提供することができる。準拠表明におけるすべてのコンテンツは、「Webコンテンツアクセシビリティガイドライン」 [WCAG10] に準拠し、アクセシビリティが高くなければならない。

HTMLで記述した準拠表明の例:

<p>MyAuthoringTool version 2.3 on MyOperatingSystem conforms to <abbr title="the World Wide Web Consortium">W3C</abbr>'s "Authoring Tool Accessibility Guidelines 1.0", available at http://www.w3.org/TR/2000/REC-ATAG10-20000203, level Double-A. Details of this claim are provided at <a href="http://somewhere.com/details"> http://somewhere.com/details</a>.</p>

準拠表明の妥当性

準拠表明は、以下の要件を満たすことで、所定の準拠度に対して妥当性をもつ。

  1. 準拠表明が適切であること。
  2. オーサリングツールがその準拠度のすべてのチェックポイントを満たしていること。

表明者(あるいは、準拠表明の適切性を保証する団体)は、準拠表示の妥当性に対して責任を負う。本文書の公表時点で、W3Cは保証団体としての活動はしていないが、将来、そのような活動を行う可能性や、保証団体に関する勧告を設定する可能性がある。

表明者は、準拠表明に妥当性がないと証明された場合には、準拠表明を修正ないし撤回することが期待される。現在のところ、完全かつ自動的に準拠表明をの妥当性を検証する方法が存在しないことにご注意いただきたい。

準拠アイコン

準拠表明の一部として、Webサイト上、製品の包装上、文書作成ガイド上などで準拠アイコンを使用することができる。(適当な準拠度に応じて選択した)準拠アイコンは、そのアイコンに関するW3Cの説明ページにリンクしなければならない。準拠アイコンの明示によって、W3Cがその準拠表明を調査ないし検証したことを意味するものではない。適切な準拠表明のために、準拠アイコンを使用しなければならない。

2. ガイドライン

ガイドライン 1. アクセシビリティの高いオーサリングの実行を支援する。

オーサリングツールがマークアップを自動生成する場合、制作者の多くは、彼らがそのことを調べ、また手作業で適切な修正を加えるために、より以上の労力を費やすのでない限り、最終的なコンテンツのアクセシビリティの状況を知り得ないであろう。制作者の多くは、アクセシビリティに精通しているわけではないから、オーサリングツールにはアクセシビリティの高いマークアップを自動生成する責任があり、また適切であれば、制作者がアクセシビリティの高いコンテンツを作成するよう導く責任がある。

アプリケーションの多くは、文書 をあるフォーマット(例えば、リッチテキストフォーマット)から、特にWebを意図したHTMLのようなマークアップフォーマットに転換する機能を特徴としている。また効率的な編集・操作を容易にするために、マークアップの変更が行われる場合もある。これらの処理過程により、アクセシビリティの低いマークアップ が挿入されない、あるいは、アクセシビリティの高いコンテンツが削除されないことが、特に制作者の視点からマークアップの変更が見えない場合に、極めて重要である。

チェックポイント:

1.1制作者が、オーサリングツールの対応しているマークアップ言語において、アクセシビリティの高いコンテンツを作成できることを確実にする。 [優先度 1]
チェックポイント 1.1の実施方法
1.2オーサリングツールが、オーサリング、変換および転換の過程で、アクセシビリティの高い情報を損なわないことを確実にする。 [優先度 1]
チェックポイント 1.2の実施方法
1.3オーサリングツールが自動生成したマークアップが、「Webコンテンツアクセシビリティガイドライン 1.0」[WCAG10] に準拠することを確実にする。 [相対的優先度]
チェックポイント 1.3の実施方法
1.4オーサリングツールの提供するテンプレート [WCAG10] が、「Webコンテンツアクセシビリティガイドライン 1.0」に準拠することを確実にする。 [相対的優先度]
チェックポイント 1.4の実施方法

ガイドライン 2. 標準的なマークアップを生成する。

標準的なマークアップへの準拠は、身体に障害のある利用者の要求に特化したユーザーエージェント の開発を容易にすることによって、共有性およびアクセシビリティを促進させる。特に、ブラウザやマルチメディア再生ソフトに装備されている支援機能の多くは、妥当性のあるマークアップが使用されているWeb文書 へのアクセスのみを提供することができる。したがって、妥当性のあるマークアップは、オーサリングツールのアクセシビリティに関する極めて重要な側面である。

標準的なマークアップとして適用可能なものは、アクセシビリティおよび共有性を確保すべく検討を重ねてきたW3C勧告である。適用可能なW3C勧告がない場合には、公表されている中で、アクセシビリティを確保し得る基準を使用する。

チェックポイント:

2.1標準的なマークアップの生成のために、W3C勧告の最新版が利用可能であり、また適切である場合には、それを使用する。 [優先度 2]
W3C仕様書は、特にアクセシビリティについて妥協をせず、可能な限りアクセシビリティを高めることを確実にすべく、再検討に耐えてきた。
チェックポイント 2.1の実施方法
2.2オーサリングツールが、妥当性のあるマークアップを自動生成することを確実にする。 [優先度 1]
これには、利用者の個別的な要求に対して、適切な方法でWebコンテンツを表示するユーザーエージェントが必要となる。
チェックポイント 2.2の実施方法
2.3オーサリングツールが生成するマークアップが、W3C仕様書に準拠しない場合は、制作者に 通知する[優先度 3]
チェックポイント 3.3の実施方法

Guideline 3. アクセシビリティの高いコンテンツの作成を支援する。

十分に構造化された(well-structured)情報や同等の代替的情報 は、アクセシビリティの高いデザインのための土台であり、制作者の創造性を抑制することなく、利用者の要求に最も適切な形で情報を表示することを可能にする。

画像に対する文字同等物やビデオの音声説明といった同等の情報の作成は、Webデザインの中で最も意欲的な側面のひとつであるが、オーサリングツール開発者は、同等の代替的情報の作成を容易かつ自動化するよう試みるべきである。例えば、文字同等物キャプション音声説明といった同等の代替的情報を付加するよう、適切なタイミングで制作者にプロンプトで指示することにより、制作者の負担を大幅に軽減することができる。同等の代替的情報が、制作者のひとつの選択肢として機械的に決定および提供されるような場合(例えば、自動生成したナビゲーションバーにアイコンを付ける場合や、辞書を利用して頭文字を正式な単語に置き換える場合)は、オーサリングツールが制作者を補助することができる。同時に、オーサリングツールにより、同等の代替的情報への要求のみならず、そのような情報があらゆる場合に適切に利用されることを確実にするという制作者の役割を強固にすることができる。

チェックポイント:

3.1制作者が、同等の代替的情報(例えば、ビデオのキャプション音声説明対照的な文字情報)を提供するようプロンプトで指示する。 [相対的優先度]
注記:「Webコンテンツアクセシビリティガイドライン 1.0」[WCAG10]のチェックポイントの中には、適用されないものもある。
チェックポイント 3.1の実施方法
3.2制作者が、構造化された情報を作成し、また情報とその表示とを分離するよう補助する。 [相対的優先度]
注記:「Webコンテンツアクセシビリティガイドライン 1.0」[WCAG10]のチェックポイントの中には、適用されないものもある。
チェックポイント 3.2の実施方法
3.3製品に同梱したコンテンツが、「Webコンテンツアクセシビリティガイドライン 1.0」[WCAG10]に準拠していることを確実にする。 [相対的優先度]
例えば、製品に同梱した動画に、キャプション音声説明対照的な文字情報を含める。また、チェックポイント 3.4を参照
チェックポイント 3.3の実施方法
3.4同等の代替物を自動生成しない。制作者がその機能を熟知していることが確実な場合を除いて、制作者の確認なしに、以前に作成された代替物を再利用しない。 [優先度 1]
例えば、ある画像に対して文字同等物 を提供するよう、制作者にプロンプト で指示する。制作者が、他の文書ですでに使用している同一の画像に対して文字同等物を提供している場合は、その文字の再利用を提案し、制作者の確認をプロンプトで求める。オーサリングツールが、「検索」アイコンを自動生成する場合は、以前にそのアイコンに対して作成された文字同等物を自動的に再利用することが適切であろう。また、チェックポイント 3.3 および チェックポイント 3.5 を参照。

注記:人間の手によって作成された(human-authored)同等の代替物が、(例えば、チェックポイント 3.5 および/あるいは チェックポイント 3.3を通じて)あるコンテンツに利用可能かもしれない。オーサリングツールは、これらを初期設定として制作者に提案することが適切である。
チェックポイント 3.4の実施方法

3.5マルチメディアコンテンツに対する代替的同等物を管理
し、編集し、再利用するための機能性を提供する。 [優先度 3]
注記:これらの代替的同等物は、オーサリングツールに同梱されたり、制作者が書いたり、Webから検出される場合がある。
チェックポイント 3.5の実施方法

ガイドライン 4. アクセシビリティの低いコンテンツをチェック・修正する方法を提供する。

オーサリングツールの多くは、制作者が基本的なマークアップについてほとんどないし全く知識がなくても、文書を作成できるようになっている。アクセシビリティを確保するために、オーサリングツールは、(できれば自動的に)アクセシビリティの低いマークアップを識別し、またマークアップ自体が制作者から隠されている場合でさえ、それを修正できるように設計されなければならない。

オーサリングツールは、アクセシビリティの高いWebコンテンツの作成を支援するために、さまざまなオーサリング形式を説明しなければならない。制作者が、彼らの一定の作業パターンを支援するためのオーサリングツールに備わっているアクセシビリティ機能を自由に構成できるのであれば、アクセシビリティの高いオーサリングの実行を受け入れるであろう(ガイドライン 5 を参照)。例えば、制作者の中には、アクセシビリティ問題 が生じていることを、アラートで表示されるのを好む人もいれば、編集作業の最後に自分でチェックを実行するのを好む人もいるであろう。このことは、コード修正のためのチェックを、編集中に実行するかコンパイル時に実行するかをユーザーが決定できる、プログラミング環境に類似している。

注記:マークアップの妥当性は、コンテンツのアクセシビリティのチェックに関する極めて重要な側面である。

チェックポイント:

4.1 アクセシビリティ問題チェックし、制作者に通知する[相対的優先度]
注記:アクセシビリティ問題は、できれば自動的に発見されるべきである。これができない場合、オーサリングツールは、特定の問題について制作者が意思決定し、あるいは、手作業でチェックすることができるようにプロンプトで指示する必要がある。
チェックポイント 4.1の実施方法
4.2制作者がアクセシビリティ問題を修正するのを補助する。 [相対的優先度]
最低限、チェックポイント 4.1が規定しているアクセシビリティチェックの実行に対して、文脈を踏まえた(context-sensitive)ヘルプを提供する。
チェックポイント 4.2の実施方法
4.3制作者が、オーサリングツールによって認識されないマークアップを保持できるようにする。[優先度 2]
注記:制作者は、アクセシビリティを高めるが、オーサリングツールによって認識されないマークアップを含めているか、挿入している可能性がある。
チェックポイント 4.3の実施方法
4.4制作者に、文書のアクセシビリティ状況の要約を提供する。 [優先度 3]
チェックポイント 4.4の実施方法
4.5制作者が、構造を伝えるのに誤って使用している表示上のマークアップ構造上のマークアップ に変換できるように、また、見た目(style)のために使用している表示上のマークアップをスタイルシートに変換できるようにする。 [優先度 3]
チェックポイント 4.5の実施方法

ガイドライン 5. アクセシビリティの解決方法を全般的な「ルック・アンド・フィール」に統合する。

適切な統合なしに、既存のソフトウェアツールに新たな機能を追加した結果、はっきりとした非連続性が生じてしまう場合がある。色彩設計(color schemes)、フォント、対話形式(interactive styles)、さらにソフトウェアの安定性の違いが、制作者の新機能を受け入れるか否かの決定に影響する要因となる。加えて、同一の作業を成し遂げるための異なる方法の相対的な優劣が、制作者の選択に影響を与える。したがって、オーサリングツールの使用の際に、アクセシビリティの高いコンテンツを作成することが、ひとつの自然なプロセスとなることが重要である。

チェックポイント:

5.1 アクセシビリティの高いオーサリングの実行 に関連する機能性が、オーリングツールの全般的なルック・アンド・フィールに自然に統合されることを確実にする。 [優先度 2]
チェックポイント 5.1の実施方法
5.2 「Webコンテンツアクセシビリティガイドライン 1.0」[WCAG10]の優先度 1 に該当するチェックポイントに対応するアクセシビリティの高いオーサリングの実行が、最もわかりやすく、また容易に制作者が実行できることを確実にする。
チェックポイント 5.2の実施方法

ガイドライン 6. ヘルプや文書作成ガイドでアクセシビリティを促進させる。

Webの制作者は、Webコンテンツを作成する際に生じるアクセシビリティ問題に精通していない場合がある。したがって、ヘルプや文書作成ガイドは、アクセシビリティ問題 に関する説明を含まなければならず、また解決方法を例示すべきである。

チェックポイント:

6.1アクセシビリティの高いコンテンツの作成を促進するすべての機能について、文書作成ガイドで説明する。 [優先度 1]
チェックポイント 6.1の実施方法
6.2アクセシビリティの高いコンテンツの作成方法が、その例示も含めて、自然に文書作成ガイドに統合された部分となることを確実にする。 [優先度 2]
チェックポイント 6.2の実施方法
6.3 オーサリングツールに備わっているアクセシビリティの高いコンテンツの作成を促進するすべての機能について、文書作成ガイドに特定部分を設けて説明する。 [優先度 3]
チェックポイント 6.3の実施方法

ガイドライン 7. オーサリングツールが身体に障害のある制作者に対してアクセシビリティが高いことを確実にする。

オーサリングツールは、標準的なユーザーインターフェース機能を備えたソフトウェアプログラムであるが、適切なユーザーインターフェースアクセシビリティガイドラインに従って設計されるべきである。カスタマイズ可能なインターフェース構成部分が設定された場合、あわせて支援技術の使用を可能にする適切なプラットフォームに関する標準的なアクセス機構を通じて、それらがアクセシビリティの高いものになる、ということが極めて重要である。

追加的なユーザーインターフェースの中には、特にWebオーサリングツールへの適用を考慮して設計するものもある。例えば、オーサリングツールは、制作者が好みの様式で(編集画面 において)編集でき、異なる様式で公開できることを確実にしなければならない。視力の弱い制作者は、編集は大きな文字で、公開は初期設定の小さな文字サイズで、と考える場合があろう。編集画面の様式に対する好みが、公開する文書のマークアップに影響してはならない。

またオーサリングツールは、制作者が身体の障害に関係なく、効率的に文書を編集できることを確実にしなければならない。スクリーン音読装置(screen reader)、更新可能点字ディスプレイ(refreshable braille display)、スクリーン拡大鏡(screen magnifier)などを使用している制作者は、文書構造を伝達するグラフィカルなコンテンツの使用や、それを迂回するための道標としての使用を制限するかもしれない。マウスを使用することができない制作者(例えば、肉体的に障害をもつ人や盲目の人)は、より効率的なナビゲーション方法が利用可能でない限り、その文書を通して求めるコンテンツにアクセスする際、一歩移動するという退屈で手間どるプロセスを経なければならない。したがって、オーサリングツールは、全般的な構造の意味を伝える編集画面 を提供し、構造化したナビゲーションを利用できるようにするべきである。

注記:文書作成ガイドやヘルプファイル、初期設定機能(installation)はソフトウェアの一部であり、アクセシビリティの高い 形式で利用可能な状態にする必要がある。

チェックポイント:

7.1適用可能なすべてのオペレーティングシステムと、アクセシビリティに関する基準および協定を利用する(基準および協定に関して、優先度 1 はアクセシビリティにとって不可欠なものであり、優先度 2 はアクセシビリティにとって重要なものであり、優先度 3 はアクセシビリティにとって有益なものである)。
本チェックポイントの実施方法には、数多くのプラットフォームに関するチェックリストおよびガイドラインと、アクセシビリティの高いアプリケーションに関する一般的なガイドラインへの参考事項を含む。
チェックポイント 7.1の実施方法
7.2文書のマークアップに影響することなしに、制作者が編集画面内の表示様式を変更できるようにする。[優先度 1]
これは、文書が公開された時の表示方法を変更することなしに、制作者が文書を個人的な要求にもとづいて編集できるようにする、ということである。
チェックポイント 7.2の実施方法
7.3制作者が、アクセシビリティの高い様式で、すべての要素およびコンテンツのプロパティを編集できるようにする。 [優先度 1]
チェックポイント 7.3の実施方法
7.4編集画面が、アクセシビリティの高い様式で、文書構造を経てナビゲーションできることを確実にする。 [優先度 1]
チェックポイント 7.4の実施方法
7.5アクセシビリティの高い様式で、文書構造を編集することを可能にする。  [優先度 2]
チェックポイント 7.5の実施方法
7.6制作者が、編集画面内を検索できるようにする。 [優先度 2]
チェックポイント7.6に実施方法

3. 用語および定義の解説

アクセシビリティ (また、アクセシビリティの高い)
本ガイドラインでは, 「アクセシビリティの高い(accessible)Webコンテンツ」および「アクセシビリティの高いオーサリングツール」は、身体の障害に関係なく、人々が利用することが可能なコンテンツおよびツールを意味する。
オーサリングツールの設計に関するアクセシビリティ(accessibility)の問題を理解するため、数多くの制作者が、あなたとは違った状況下でコンテンツを作成している可能性がある、ということを考えてみよう。
アクセシビリティの高いオーサリングツールの設計は、上記のような異なるオーサリング環境にある人々や、身体に障害はないが、同様の要求をもっている多くの人々のためになる。例えば、ある人が騒々しい環境の中で仕事をしている場合、音声情報の代替表示を求めるであろう。同様に、ある人が目が離せない環境で作業をしている場合、目視できない情報と同等の音声を求めるであろう。(小さなスクリーンで、キーボードやマウスのない)小型のモバイル機器の利用者は、身体に障害のある利用者と同様の機能上の要求をもっている。
アクセシビリティ情報
「アクセシビリティ情報」(accessibility information)は、文書のアクセシビリティを改善するために使用される情報やマークアップを含んだコンテンツである。アクセシビリティ情報には、同等の代替的情報が含まれるが、それに限定されるわけではない。
アクセシビリティ問題 (また、アクセシビリティの低いマークアップ
アクセシビリティの低い(inaccessible)Webコンテンツあるいはオーサリングツールとは、身体に障害のある人々が利用できないものである。「Webコンテンツアクセシビリティガイドライン 1.0」[WCAG10] は、アクセシビリティの高いWebコンテンツの作成方法を説明している。
アクセシビリティの高いオーサリングの実行
「アクセシビリティの高いオーサリングの実行」(accessible authoring practice)とは、Webコンテンツのアクセシビリティを改善するものである。制作者とオーサリングツールの両者は、アクセシビリティの高いオーサリングの実行に従事している。例えば、制作者は文章を分かりやすく書き、コンテンツを組み立て、ナビゲーションの補助を提供する。オーサリングツールは、適切なマークアップを自動生成し、また制作者が適切で同等の代替物を提供・管理するのを支援する。
アラート
「アラート」(alert)とは、あるイベントや状況に対して、制作者の注意を喚起するものである。アラートは、制作者の返答を求める場合がある。
代替的情報 (また、同等の代替物)
コンテンツは、利用者に対する表現の点で、本質的に同一の機能ないし目的の両方を満たす他のコンテンツと「同等の」ものである。ある種のコンテンツ(例えば、ビデオ、画像、音声など)は、すべての利用者にとってアクセシビリティが高いわけではないから、同等の代替物(equivalent alternative)が、アクセシビリティの高いオーサリングの実行において重要な役割を果たす。文字は、視覚障害や学習障害のある人には合成音声として、盲目の人には点字として、聴覚障害のある人や障害がない人にはグラフィカルな文字として表現されることがあるから、制作者は、文字ではないコンテンツに対して文字同等物を提供することが推奨される。同等の代替物に関する詳しい情報については、「Webコンテンツアクセシビリティガイドライン 1.0」[WCAG10] を参照されたい。
属性
本文書では、SGMLやXML([XML])で使用されているのと同じように、「属性」(attribute)という用語を使用する。すなわち、要素はいくつかの属性をもつものと定義される場合がある。属性の中には、コンテンツのアクセシビリティにとって不可欠なものがある(例えば、HTMLにおける「alt」「title」「longdesc」といった属性)。
音声説明
「音声説明」(auditory description)とは、動作、ボディランゲージ、グラフィック、ビデオの場面変化に関する情報を提供するものである。音声説明は、一般的に盲目ないし視力の弱い人々に利用されるが、Web上での低帯域幅(low-bandwidth)の同等物としても利用される。音声説明は、事前に録音された人間の声か、あるいは、(録音されたか、リアルタイムで自動生成した)合成された声のどちらかである。音声説明は、通常、音声トラックにおける自然な小休止の間に、ビデオ表現の音声トラックと同時性をもたせなければならない。
オーサリングツール

「オーサリングツール」(authoring tool)とは、Web上で公開するコンテンツの作成のために使用されるソフトウェアである。オーサリングツールには、以下のものが含まれる。
キャプション
「キャプション」(captions)とは、ムービーオーディオに対する文字同等物 である。キャプションは、ビデオや音声トラックと同時性のある動画(あるいは他のビデオ表現)の音声トラックに対する文字情報 である。キャプションは、一般的にグラフィカルに表現され、聴覚障害の人、難聴の人、あるいは、音声を聞くことができないが画面を見ることができる人に役立つ。
転換ツール
「転換ツール」(conversion tool)とは、あるフォーマットから(マークアップ言語といった)他のフォーマットに変換するためのアプリケーションないしはアプリケーション機能(例えば、「HTMLとして保存」)である。
チェックする
チェックポイント 4.1を利用することで、「チェックする」(check for)ことは、以下3種類のチェック方法に関連する。
  1. ある場合では、オーサリングツールは、アクセシビリティ問題を自動的にチェックできるであろう。例えば、妥当性(チェックポイント 2.2)をチェックしたり、画像が最良のリンクコンテンツであるかどうかをテストすることである。
  2. ある場合では、オーサリングツールは、アクセシビリティ問題の存在を「疑う」あるいは「推測する」ことができるが、制作者の確認を必要とするであろう。例えば、慎重な読順の保持を確実にする際、オーサリングツールは、ページを線状にしたものを制作者に表示することができる。
  3. ある場合では、オーサリングツールは、大いに制作者に依存しなければならず、制作者にチェックを求めることしかできないであろう。例えば、オーサリングツールは、マルチメディアに対する同等の代替物が適切かどうかを確認するよう、制作者にプロンプトで指示することができる。これは、最低限満たされるべき基準である。自動的にチェックできないアクセシビリティを制作者が確認するよう推奨する場合、あまり頻繁になりすぎずに、プロンプトで指示するのが効果的である考えられる。
文書
「文書」(document)とは、マークアップ言語(例えば、HTML 4あるいはXMLアプリケーション)により定義されている一連の要素である。
編集画面
「編集画面」(editing view)とは、オーサリングツールが提供する編集中の画面 である。
要素
「要素」(element)とは、例えば、文字、単語、画像、段落、スプレッドシートのセルなど、ある文書内で識別可能なすべてのオブジェクトである。[HTML4] および [XML]では、要素とは、一組のタグとその中身に、あるいは、終了タグないしは中身を必要としない「空」のタグに関連するものである。
通知する
「通知する」(inform)とは、アラートプロンプト、音声、光その他の手段により、あるイベントや状況を、制作者に気づかせることである。
マークアップ言語
制作者は、HTML [HTML4]、SVG [SVG]、あるいは MathML [MATHML] といった「マークアップ言語」(markup language)を用いて、情報を符号化する。
表示上のマークアップ

「表示上のマークアップ」(presentation markup)とは、コンテンツについて求められる表現ないしレイアウトに関する情報を符号化するマークアップ言語 である。例えば、カスケーディングスタイルシート([CSS1][CSS2])は、フォントや色、聴覚的表現、グラフィカルな位置指定などをコントロールするために使用される。表示上のマークアップは、構造を伝達する 構造上のマークアップ の代わりに用いられるべきではない。例えば、制作者はHTMLにおいて、適切な表関連のマークアップを用いて表をマーク付けし、またCSSを用いて(例えば、間隔、リスト項目の前に付ける印、番号付けなどをコントロールすることで)デザインを調整すべきである。制作者は、コンテンツを表に似せる目的でグラフィカルにレイアウトするために、不正確に他のCSSあるいはHTMLを使用するべきではない。
プロンプト
「プロンプト」(prompt)とは、情報あるいは意思決定に関して、制作者による入力を要求するものである。プロンプトは、制作者の返答を要求する。例えば、画像挿入ダイアログに中で目立って表示される 文字同等物 の入力フィールドは、プロンプトを構成するものである。コンテンツのアクセシビリティを高めるのに必要とされる(代替的な文字同等物といった)情報を、制作者が提供するよう促すために、プロンプトを使用することができる。
プロパティ
「プロパティ」(property)とは、例えば、構造上の情報(表の7という項目数、プレーンテキストなど)や表示上の情報(フォントを太字にする、フォントの大きさを14にするなど)といったように、ある要素に関する情報の一部分である。XMLおよびHTMLでは、要素のプロパティには、その要素の種類(例えば、IMG、DL)、その属性 の値、スタイルシートによって関連づけられた情報が含まれる。データベースにおいては、ある特定の要素のプロパティには、入力値や入力可能なデータの種類に関する値が含まれる場合がある。
構造上のマークアップ
「構造上のマークアップ」(structual markup)とは、そのコンテンツにおける要素の構造上の役割に関する情報を符号化するマークアップ言語 である。例えば、表題、節、表の項目、複雑な図表の構成要素などは、構造上のマークアップの使用により識別することができる。構造上のマークアップは、表示やレイアウトをコントロールするために、不正確に使用されるべきではない。例えば、制作者は、インデントと同様の視覚的なレイアウト効果を生み出す目的で、HTML [HTML4]におけるBLOCKQUOTE要素を用いるべきではない。構造上のマークアップは、そのコンテンツの要素としての役割を伝達するために、正確に使用されるべきであり、また表示上のマークアップは、表示およびレイアウトをコントロールするために、構造上のマークアップとは区別して使用されるべきである。
文字情報
「文字情報」(transcript)とは、音声クリップあるいはマルチメディア表現の音声トラックにおける音声を文字で表現したものである。ビデオの「対照的な文字情報」(collated text transcript)は、キャプションの文字と、ビデオに関する情報の文字による説明(動作、ボディランゲージ、グラフィック、映像トラックの場面変化などの説明)とを組み合わせる(対照させる)。対照的な文字情報は、耳が不自由な人や、点字を頼りに動画その他のコンテンツにアクセスする人にとって不可欠なものである。
変換
「変換」(transformation)とは、ある文書ないしオブジェクトを、個別的な一連のルールに従って、他の同等のオブジェクトに変更するプロセスである。これには、制作者が原型の文書と定めた文書型定義(Document Type Definition:DTD)を他のDTDに変更することのできるソフトウェアや、リストのマークアップを変更し、表に置き換えることのできるソフトウェア、すなわち転換ツール が含まれる。
ユーザーエージェント
「ユーザーエージェント」(user agent)とは、Webコンテンツを収集・表示するソフトウェアである。ユーザーエージェントには、ブラウザ、特定のメディアに対応したプラグイン、支援技術が含まれる。
画面
オーサリングツールは、さまざまな方法で同一のコンテンツを表示する場合があり、それぞれの表示方法が「画面」(view)と呼ばれる。オーサリングツールの中には、さまざまな画面を備えたものがあり、また同時に複数の文書を画面として表示可能なものもある。例えば、1つ目の画面ではマークアップのままで表示され、2つめの画面では構造図(structured tree)が表示され、3つ目の画面では表示されているオブジェクトに関するマークアップが表示されるが、最後の画面では、その文書を特定のブラウザで表示させる方法の例を示すかもしれない。ひとつのグラフィック環境において複数の画面を区別するための一般的な方法は、各画面を別々のウィンドウで表示させることである。

4. 謝辞

検討や批評を通じて本文書に貢献してくれた、Jim Allan, Denis Anson, Kitch Barnicle, Kynn Bartlett, Harvey Bingham, Judy Brewer, Carl Brown, Dick Brown, Wendy Chisholm, Aaron Cohen, Rob Cumming, Daniel Dardailler, Mark Day, BK Delong, Martin Dürst, Kelly Ford, Jamie Fox, Edna French, Sylvain Galineau, Al Gilman, Jon Gunderson, Eric Hansen, Phill Jenkins, Len Kasday, Brian Kelly, Marja-Riitta Koivunen, Sho Kuwamoto, Jaap van Lelieveld, Susan Lesch, William Loughborough, Greg Lowney, Karen McCall, Thierry Michel, Charles Oppermann, Dave Pawson, Dave Poehlman, Loretta Reid, Bruce Roberts, Chris Ridpath, Gregory Rosmaita, Bridie Saccocio, Janina Sajka, John Slatin, Jim Thatcher, Irène Vatton, Gregg Vanderheiden, Pawan Vora, Jason White, Lauren Wood の方々に深く感謝する。

5. 参考資料

W3C仕様書の最新版については、「W3Cテクニカルレポート」http://www.w3.org/TR の一覧を参照。

[ATAG10-CHECKLIST]
本文書の付録では、すべてのチェックポイントを優先度ごとに分類し、一覧表示している。チェックリストは、表形式(http://www.w3.org/TR/2000/REC-ATAG10-20000203/atag10-chktable)あるいは一覧形式(http://www.w3.org/TR/2000/REC-ATAG10-20000203/atag10-chklist)で入手可能である。
[ATAG10-TECHS]
オーサリングツールアクセシビリティガイドライン1.0 技術書」、J. Treviranus, J. Richards, I. Jacobs, and C. McCathieNevile 編。 最新版は http://www.w3.org/TR/ATAG10-TECHS で入手可能である。
[CONFORMANCE]
ATAG1.0 準拠アイコン」。ATAG 1.0 準拠アイコンに関する情報は、http://www.w3.org/WAI/ATAG10-Conformance で入手可能である。
[CSS1]
CSSレベル1勧告」、B. Bos and H. Wium Lie 編、1996年12月17日公表、1999年1月11日改訂。 本勧告は、http://www.w3.org/TR/1999/REC-CSS1-19990111。CSS1の最新版 は、http://www.w3.org/TR/REC-CSS1 で入手可能である。注記:現在、CSS1 は CSS2に置換えられている。オーサリングツールは、CSS2に準拠すべきである。
[CSS2]
CSSレベル2勧告」、B. Bos, H. Wium Lie, C. Lilley, and I. Jacobs 編、1998年3月12日公表。本勧告は、http://www.w3.org/TR/1998/REC-CSS2-19980512。 CSS2の最新版 は、http://www.w3.org/TR/REC-CSS2 で入手可能である。
[HTML4]
HTML 4.01勧告」、D. Raggett, A. Le Hors, and I. Jacobs 編、1999年12月24日公表。本勧告は、http://www.w3.org/TR/1999/REC-html401-19991224。HTML 4の最新版 は、http://www.w3.org/TR/html4 で入手可能である。
[MATHML]
数理マークアップ言語」、P. Ion and R. Miner 編、1998年4月7日公表、1999年7月7日改訂。本勧告は、http://www.w3.org/TR/1998/REC-MathML-19990707。MathML 1.0勧告の最新版 は、http://www.w3.org/TR/REC-MathML で入手可能である。
[RDF10]
リソース記述フレームワーク(RDF)形式および構文仕様書」、O. Lassila, R. Swick 編。1999年2月22日公表の勧告は、http://www.w3.org/TR/1999/REC-rdf-syntax-19990222。RDF 1.0の最新版 は、http://www.w3.org/TR/REC-rdf-syntax で入手可能である。
[SVG]
計測可能ベクトルグラフィック(SVG)1.0仕様書(草案)」、J. Ferraiolo 編。 SVG仕様書の最新版は、http://www.w3.org/TR/SVG で入手可能である。
[UAAG10-TECHS]
ユーザーエージェントアクセシビリティガイドライン 1.0 技術書」、J. Gunderson, and I. Jacobs 編。ユーザーエージェントアクセシビリティガイドライン1.0 技術書の最新版 は、http://www.w3.org/TR/UAAG10-TECHS/ で入手可能である。
[WCAG10]
Webコンテンツアクセシビリティガイドライン 1.0」、W. Chisholm, G. Vanderheiden, and I. Jacobs 編、1999年3月5日公表。本勧告は、http://www.w3.org/TR/1999/WAI-WEBCONTENT-19990505。Webコンテンツアクセシビリティガイドライン 1.0の最新版 は、http://www.w3.org/TR/WCAG10/ で入手可能である。
[WCAG10-TECHS]
Webコンテンツアクセシビリティガイドライン 1.0 技術書」、W. Chisholm, G. Vanderheiden, and I. Jacobs 編。Webコンテンツアクセシビリティガイドライン1.0 技術書の最新版 は、http://www.w3.org/TR/WCAG10-TECHS/ で入手可能である。
[XML]
拡張可能マークアップ言語(XML)1.0」、T. Bray, J. Paoli, C. M. Sperberg-McQueen 編、1998年2月10日公表。本勧告は、http://www.w3.org/TR/1998/REC-xml-19980210。XML仕様書の最新版 は、http://www.w3.org/TR/REC-xml で入手可能である。

Level Double-A conformance icon, W3C-WAI Web Content Accessibility Guidelines 1.0