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ブログの匿名性再論

先日のBlog24「ブログ飲み」で、ブログの匿名性に関する話が出た。古くて新しい問題だ。私は「もしブログを何らかの仕事に発展させたいのであれば、実名で書いたほうがよい」という意見を述べた。しかし、これはあくまで、あけすけに言えば「名前を売る」という前提でブログを書いている人に当てはまる。もちろんそうでない人もたくさんおり、それがブロゴスフィアのダイナミズムを生み出す源泉のひとつになっているわけだ。

はてなの近藤淳也代表は、あの「はてな住所登録問題」を振り返って次のように述べている

家庭内で夫には見せられない自分の一面をはてなダイアリー上で書いているのに、ユーザーの住所確認の手紙が自宅に届き、はてなを利用していること、日記に書いている内容が家族に知れたらと思うと二度とはてなを使えなくなる、といった意見がいくつもありました。

これらの意見を読んで、インターネットでの活動を実生活に結びつけずに居られる権利、というものが存在するのだなと強く感じました。インターネットの中だけで別の人格を形成して活動したり、普段は見せない自分の一面を吐き出したりできることもまた、インターネットの大きな可能性の一つだと思います。

私の意見はブログの匿名性を書いたときと変わっていないし、上述のとおり「名前を売る」ことを前提に考えれば実名のほうが有利だと考えている。実名で書くということは、「実名」自体に意味があるというよりは、一定の覚悟があることをアナウンスできるからだ。あわせて詳細なプロフィールを公開すれば、いっそうアナウンス効果は高まる。何らかのビジネスをオファーしようと考えている側にとって安心感や信頼感につながるのだ。

ペンネームやハンドルネームで書いても、実録鬼嫁日記のように着眼点と内容がずば抜けていればその後の展開がありうるかもしれないし、今後そのようなケースが増えていくと思うが、いずれにしても極めてレアなケースだ。無数にあるブログのなかで頭ひとつ抜けるには、プロモーションその他の変数はあるにせよ、まず実名で書くことが次の一歩につながる糸口となる。

実名で書かなくても「実名ふうの名前」で書くというテクニックも使える。私が「柏木勇二」という名前でブログを書いたとしても、それが実名かペンネームかどうかはよほど身近な人間でない限りわからないはずだ。

半径5メートル以内の話題は書き方を工夫すればよい。プロフィールは少しボカす必要が出てくるが(たとえば私なら著書や連載している雑誌名は書かないなど)、すでに名前が売れている人で身辺の話題を書く場合を除いては、これも書き方の工夫で何とか対応できるだろう。

作家にも「実名ふうの名前」をペンネームを使っている人が多く、あからさまなニックネーム(たとえば「リリー・フランキー」など)を使っている人は少数だ。もちろんブロゴスフィアはブロゴスフィアで独自のスタイルがあってよいのだが、「実名」あるいは「実名ふうの名前」でブログを書くと匿名では得られないメリットが生まれる。

その分、リスクが発生する可能性があり、実際に発生したという話をよく聞くが、そのときは「リスクとリターンは比例する」と割り切って対処するしかない。わりとそのリスクは自分の心のなかの何らかの「こだわり」が生み出しているか、誇大している場合がある。それを知ったうえで、さらにその「こだわり」を維持するのか捨てるのかを判断するしかない。

そして多くの場合、ブログを開設していることが理由で実生活に支障をきたしていたとしても、他人にとってみれば「どうでもいい」のひと言で一刀両断されてしまうことなのだ。あるいは、文章の書き方を含めた自分のリスク管理方針を責める必要があるかもしれない。私は匿名性と不用意な文章には一定の相関関係があると思っている。実名であれば書かなかったようなリスキーな表現を、匿名では書いてしまうというリスクがあるからだ。

それが理由で炎上したブログは、後にその人が一定の社会的地位にあると発覚した場合を含めて、しばしば散見される。「それは炎上して当然だよ、やれやれ」というケースも少なくない。率直でありながら、かつ、読み手に悪意を抱かせない表現方法を模索し構築すること、それが決定的なリスク管理につながる。

そのことに暗黙的であっても気づいている人はいるし、ビジネスブログはもちろん「名前を売る」ことを前提にブログを書いているのであればなおさら、方針なり戦略なりに織り込まなければならない事項だ。また、もし悪意のあるコメントが多数寄せられたとしても、それは「反響」と言い換えることもできるわけで、その解釈も込みで戦略のなかに取り込んでしまえばよい。

Posted on 2005-10-24T02:59+09:00 | Category: ブログトレンド

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