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ブログの匿名性

週刊!木村剛のエントリー [ゴーログ]再び、モノ書きの老婆心:『匿名性』を護るためにでは、ブログの匿名性に関する議論が整理されているのだが、やや堂々巡りになっている感がある。

ブログの世界では、書き手は書き殴るばかりで、「読み手のリテラシー」ばかりが強調されがちですが、現在のブログの現状で申し上げると、「書き手のマナー」に対してもっと厳しい目線を向けるべきではないかと感じたりもします。

それはそうなのだが、書き手のマナーとは具体的に何を指すのだろうか。端的な例は「引用文」を明確にし「引用元」をはっきり示すことだろうし、本質的には木村氏が言うような「良識」という曖昧模糊としたルールを持ち出さざるをえないのかもしれない。

ただ、リテラシーやマナーが良識として普遍化するほど、その良識を逆手に取る手法もまた普遍化する。より大きな枠で考えれば、そもそもブログは既存のメディアに対するカウンターメディアということで注目を集めているわけで、自然「良識をブチ壊せ」「良識のウソを暴け」というムードが漂っている。

既存のメディアが形成してきた良識が、少なくとも部分的には悪良識(©小林よしのり)に陥っている点を、ブログによって補完なりブレークスルーするという期待役割がある。このような役割を負っている以上、リテラシーやマナーを過度に強調するのはやや検討違いではないかという思いがある。

また、木村氏は前段で、

相変わらず「匿名性」のセーフティネットの中で、社会人としてのマナーもなく、他人に誹謗中傷や罵詈雑言を投げ付けることでカタルシスを得ている方々を見ていると、私の予言は実現してしまうのではないか、と極めて残念に思っています。

と述べているが、テレビや雑誌、スポーツ紙やタブロイド紙なども「カタルシス」によって成り立っている部分が大きいわけで、ブログやWebだけが「カタルシス」を提供して(あるいは書き手が得て)いるわけではない。

新聞記事や雑誌記事の多くが記名制ではなく無記名制だという先例もあり、匿名性を通してブログを語るのはあまり有意義ではないし、十年一日の議論という感じがする。

ブログを実名で書くか匿名で書くかというのは、結局「実名で書く必然性やメリットがなければ、匿名で書くほうをチョイスする」というだけではないだろうか。

たとえば私が実名でブログを書く理由は、自分のサイトのなかに設置しており、すでに自分のプロファイルを公開している以上、実名を隠す必要もなければ必然性もないというだけである。もしブログサービスを利用して何らかのブログを書くとすれば、Web関連のテーマであれば実名で書くかもしれないが、その他のテーマであれば匿名で書くと思う。特に実名で書くメリットが見出せないからだ。

実名で書くメリットについては、磯崎哲也さんの次の意見がシンプルでわかりやすい。

そう考えてみると、日本の実名ブログって、社長ブログとか芸能人ブログとか、「ピン」で売ってる人のブログにほぼ限られるような。

...(中略)...

特に、「会社は仮の居場所であって、自分は自分の”腕”にあわせて最適な組織やキャリアパスを選ぶんだ」と考えている人にとって、ブログというのは自分の名前を売るための非常に有効なツールなんじゃないかと思います。(っていうか、「ありえねー」ってほどの大チャンス到来!って感じ?)

自分の名前を直接売りたい人(あるいはすでに売れている人)は実名で書く、ということである。ただ、反面デメリットもあって、そこここで話題になっている「ブログがもとで解雇される」という以外にも、「××という人はブログでわけのわからないことを言っている」といったイメージダウンに直結しやすい。

たとえば最近、Hotwired Japanの連載ブログ 小倉秀夫の「IT法のTop Front」で、切込隊長のエントリーをきっかけにあるブログが閉鎖してしまったことを批判したはよいが、その後の反響に対して腰の定まらない発言を重ねたことで、小倉秀夫という個人のイメージが大幅にダウンしてしまった(少なくとも私の印象では)という例がある。

ほかのメリットとして、匿名で書くといわゆる「祭り」や「炎上」を誘発しやすいから、それならはじめから実名で書いておくということがある。順序としてはむしろ逆かもしれない。実名だったら書かないようなことを、匿名なのをよいことに迂闊にも書いてしまって、「そんなことを書いているのは誰だ」と実名とプロファイル探りがはじまってしまう、という流れになる。

実名とプロファイルをあらかじめ公開しておけば、執拗に探られることはないし、「そもそもそんなことは書かなかった」という安全装置にもなる。ただ、このメリットが匿名性のメリットを超えるかどうかは、その人やテーマによるだろう。

* * *

昨日も高田馬場の「力」(りき)で、雑誌編集者のK氏と飲む。おばちゃんに「この前はちゃんと帰れた? あんなに酔ったところははじめて見たよ」と言われた(忙しさを誇る馬鹿馬鹿しさ参照)。それなのに、「はい、ウーロンハイ。濃いめに作っておいたから」と酔うことを強要。いや、グッドサービス。

Posted on 2005-02-18T18:47+09:00 | Category: ブログトレンド

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