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Googleニュースの印象

[画像: Googleニュース 日本語版 Beta版]

Googleニュース 日本語版 Beta版が公表されて早1ヵ月が過ぎた。しばらく見守っていたが、感じた点を少しばかり。

幅広くメディアを掌握?

610サイトからの最新ニュースを収集・検索している点が評価できる(本家アメリカ版では4,500と謳われている)。地方紙やテレビ局、IT専門サイトなども一定程度網羅している点もよい。河北新報熊本日日新聞の優秀さはよく指摘されるところだが、そういった新聞をきちんと押さえ、しかも全国紙とほぼフラットに扱っている。Googleニュースの存在が、地方紙で働く人々のやりがいにもなるのでは。

なかには「こんなところを1サイトとしてカウントするのか?」というところもあるが、とりあえずその点は大目に見るとする。ちなみに、Ceekz Logsさんが独自調査の上でGoogleニュースの巡回先を公開しているので参考にしてほしい。

だが、朝日新聞と日経新聞ばかり?

何となく記事は朝日新聞と日経新聞ばかりという印象。バランス感覚からすれば産経や読売を入れるとよいのだが、両社ともGoogleとは何かゴタゴタしているし、そのゴタゴタも全く不当というわけでもない(後述参照)。

コンテンツの柔軟性は?

ニュースに関する自動化されたリンク集であって、コンテンツに柔軟性がない。たとえば、そのトピックスに関する用語解説ページや過去の関連記事へのリンクをつけるなど。その点、Yahoo! ニュースのほうが人を介しているだけに柔軟。ただ、「人の手を介さないことがニュートラリティ(中立性)の担保である」というならば仕方がないとも言える。

余談。Googleニュースのデザインを「整然としている」と評する人もいるが、私には雑然とした印象が強い。特にトップページはテキストで埋めつくされている感じで、かなりの威圧感を覚えてしまう。

著作権の問題は?

見出しや本文、写真の引用に関する著作権問題が提起されているが(特に本文と写真)、これは古くて新しい問題だ。ネット積極派の間では「そういった文句を言うオールドメディアが悪い」との意見が多いようだが、事はそう単純ではない。新聞で見出しをつけること、書き出しを工夫すること、オリジナルの写真を用意することの大変さ・大切さは、関係者でなくとも容易に推察できるところだ。当然、多額のコストもかかっている。

この点に関しては、地方紙などは「自社のアクセス数が増えるから、どんどん使ってください」という積極容認だろうし、全国紙のなかで協力しているところは「IT 化の流れには逆らえないし、有力ポータルのGoogleだから」という消極容認ではないだろうか。

有料ニュース収入や広告収入の兼ね合いというビジネスメソッド(ビジネスモデル)上の問題もある。Googleニュースに協力することは、記事へのフリーライディング(ただ乗り)を認めることではないか「トップページを経由しない、個別記事へのリンクなので、広告効果が格段に落ちてしまうといった点だ。

運営費やトラフィックばかり増えて収入が増えないならば、ビジネスメソッドとしては成り立たない。新聞というメディア自体のビジネスメソッドという「そもそも論」から掘り起こして議論する時期かもしれないが、この点、ネットは新聞を殺すのかBlogさんの一連の考察、特に読売新聞、足を撃つ?変動期にありがちな反応などの冷静で抑制的な意見に共感する。

なお、見出しの著作権とリンクの是非については、読売新聞東京本社(ヨミウリオンライン)がライントピックス(一行ニュースリンク配信サービス)の運営会社デジタルアライアンスを訴えた結果、今年の3月に東京地裁から違法性はないとの判決が下された(読売がその後上告)(INTENET Watch「見出しは著作物にはあたらない~東京地裁、読売新聞の訴えを棄却」参照)。

ドイツでは 2003年 7月に最高裁でニュースソースのURLを表示する行為は合法であると判決された一方で(INTERNET Watch「独最高裁『検索エンジンのニュースソース表示は合法』著作権及ばずと判示」参照)、ハンブルグ裁判所は今年、Googleニュースのドイツ版に掲載されたサムネイル写真が無断転載に当たるとし、Google社の行為は不当であるとの判決を下した(Google社がその後上告)(Wired News「『Googleニュース』、3年経ってもベータ版であり続ける理由」参照)。

Googleニュースの収益構造は?

Google社はGoogleニュースから収益を上げられていないため、本家アメリカ版のサービス開始から3年たった現在でもBeta版のままなのだ、という指摘がある。そもそも、Googleニュースが有料広告を配信すれば、新聞社などは協力を取り止めるか、一定の使用料を請求するはずである。

Googleニュースは収益構造上、単体として成立するのが非常に難しいといえるし、各国で上記のような法律問題も抱えている。Googleのリチャード・チャン(Richard Chen)氏も、Googleニュースではビジネスモデルはない。いいビジネスモデルがあれば教えてほしい@IT「Googleニュース日本語版、直リンク問題を抱えてスタート」参照)と肩透かししているが、IPOで多額の資金と引き替えに抱えた口うるさい株主たちを納得させることができるだろうか。

追記 (2004-12-14)

Googleニュースの収益モデルが確立しつつあるようだ(ITmedia「Googleの特許申請で浮かび上がる『新ビジネス』」参照)。

Googleは現在β運用中のGoogle Newsサービスを収益が上がる仕組みに変え、なおかつ出版社との関係を悪化させない方法を考えついたようだ。同社が米国特許局に提出した特許申請により、明らかになった。

Posted on 2004-10-09T17:11+09:00 | Category: Webトレンド

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» Google News の巡回先 (2) from Ceekz Logs
以前に Google News 日本語版 の巡回先を調べて公開したのをご存知でしょうか。 今後も調査を続けていきます。まとまったら、随時公開ということで。 ということで、公開です。ただ、追加ではなく、2004年10月5日~2005年1月20日までの新規の調査結果となります。恐らく、古いデータにあるサイトは全部含まれていると思いますが、9月中に巡回先から離脱しているサイトがあったかもしれないので、再調査していました。... [Read More]

Tracked on 2005-01-21T17:28+09:00

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